雪博士・中谷宇吉郎 文「浦島太郎」復刊に寄せて 2004.7.12 十場さんのお誘いで、7/10(土)〜11(日)と京都府京丹後市の浅茂川浦島温泉へ「浦島太郎伝説」の音草子(十場さんの奥さんの弟さんで羽衣学園短期大学教授で狂言師の安東伸元先生の能舞と語りに、ニューヨーク出身のアルバート・ロトさんのピアノ)を愉しんできました。 浦島温泉万助楼の心づくしの玉手箱懐石料理を頂いた後、竜宮城夢舞台の幻想的な雰囲気の中、「浦島太郎伝説」の音草子は、安東先生の能舞で始まった。先生の朗々とした「浦島太郎」の朗読(語り)とロトさんの素晴らしいピアノの曲にすっかり酔いしれ、最後に室町歌謡「雪山」を先生の先導で参加者全員による大合唱で幕を閉じ、幻想的な浦島太郎伝説を満喫してきました。 ※大和座通信(71号)より 朝倉泰子さんという人品・教養ともに、大和撫子が範としてほしい老婦人がおいでになる。この方、生粋の京都人でアサクラコンサート企画を運営されて、八十歳の今も何かひらめけば身軽に東京へ九州へとお出かけになる。京都芸大ゆかりの音楽家たちは朝倉さんを「お母さん」と呼んで慕う。ひらめきの産物が昨年の「兵士の物語」であった。その後、音草子コンサート「中谷宇吉郎へのオマージュ」が始まっている。 人工的に雪の結晶を作った世界的科学者の中谷博士は卓越した随筆家とも知られ、子供に読み聞かせた「浦島太郎」が復刻されたのを機に、このコンサートは企画された。 読み語りとコラボレートするピアノのアルバート・ロトさんは中谷先生の娘婿で、アサクラファミリーの中心的存在音楽家。米国と日本を再々往復して演奏活動をされている。 この企画催しが今年中各地で展開され、私を補佐して大和座の若い人たちも同行する。中谷先生の浦島は、私たちが久しく耳にしない日本語の優しさと美しさを感じさせます。夏までに芦屋・上郡・智頭・高知・加賀・網野と読んで回ります。今年は春から、そのような新しい風が吹き来たっているような気がします。 (大和座狂言事務所 代表 安東伸元)
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