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古代食を体験してきました!
 
「奈良とシルクロードの語り部たち」講演会
古代奈良の食文化とシルクロード
2002.11.24(日)、奈良県新公会堂・能楽ホール

 昨日は、「奈良とシルクロードの語り部たち」という講演会に参加して古代食を体験してきました。
 朝から曇ってはいましたが、一日穏やかな天候で、シルクロードの講演会の会場付近の紅葉を楽しんできました。会場は奈良の若草山の麓に昭和62年に完成した、奈良県新公会堂の中の能楽堂であり、立派な建物に感心したり、昼食後の休憩時間に周囲の庭園をのんびりと歩いてきました。

 古代食は、古代奈良と古代ローマのご馳走が竹網つくりの弁当に、左右に分けて入れられており、味は我々現代人に合わせて作られたもので色合いも美しく大変美味しく頂きました。シルクロードの古代食

 古代奈良の食材は、藤原京・平城京・長屋王邸跡などから発掘された木簡に書かれていた産地より忠実に取り寄せて作られたものだそうです。
 赤米、黒米、鮎の煮付け、猪肉の炒め焼き、揚げ茄子の味噌和え、かぶらの塩漬け、干しイカ、蘇(絞りたての牛乳を7〜8時間煮詰めて作くられたもので、現代のチーズやヨーグルトではないもの)、菓子として、干しいちじく・干し柿・焼き栗などでした。

 古代ローマのメニューは、鶏卵の半熟、うなぎの香り焼き、大根とアスパラガスのベーコン巻き、キャベツのサラダ、羊乳のチーズ、デザート(ぶどう、ザクロ、りんご)でした。
 試食した時は、現代の我々が普段の食事に口のするような献立でそんなに珍しいものとは思わなかったのですが、解説欄をよく読むと大変珍しいものばかりでした。(ここでは説明を割愛します)
 古代ローマ市民の食事は通常一日2食で、遅い朝食「プランディウム」と、日没前に始まる夕食「ケーナ」である。朝食はイチジク団子(イチジクをついてペーストにし、こねて団子にして天日で乾燥させたもの)やワイン・スープなどの手を汚さない簡単なものでした。夕食は鶏卵に始まり、肉や魚のメインコースを経てリンゴのデザートに終わりました。
また、古代のギリシャ・ローマの人々は甘いものが大好きだったようです。

 ※古代食の中味は、試食してしまいましたので写真では紹介できないのが残念です。

《当日の古代奈良の献立の解説》



  • 鮎の醤煮(ひしおに) : 古代奈良の人々には鮎は古くから親しまれた魚であった。吉野川や飛鳥川で獲れた新鮮な鮎が賞味されたことだろう。
  • 猪肉の炒め焼 : 仏教の影響で獣肉は禁じられていたが、猪・シカ・キジ・カモ・ウズラ・ウサギの肉は除外されていた。
  • 揚げ茄子の末醤(まっしょう)添え : 茄子の原産地はインドといわれ、シルクロードを経て唐から伝わったもので、奈良時代にはすでに茄子が広く栽培されていた。現在よりはるかに小さい茄子であっただろう。
  • 干し伊加(いか) : いかは、隠岐や出雲などより採れたものを干して運ばれた。
  • かぶらの塩漬け : かぶらは、ヨーロッパ原産の外来野菜であるが、日本に渡来した後は、葉も根も食せることから飢えを救う作物として、1月から12月まで1年を通じて栽培された重要な野菜であったようです。正倉院文書には塩漬けの材料となる野菜とそれを漬けるための塩の量が記されており、塩漬けは生野菜の少ない冬季の重要な食品であったことがうかがえます。
  • 古代のチーズ「蘇(そ)」蘇(そ) : 飛鳥時代に、中国や朝鮮半島を経て、牛乳を飲用する習慣や「酪」や「蘇」などという乳製品が伝えられた。当時、蘇は天皇や長屋王など大貴族たちしか賞味できず、いわば滋養強壮剤として用いられたようです。中央アジアの草原のパオの中で生まれ、シルクロードを通じて伝えられたといわれる高貴な食べ物。後を引くミルキーな味。製造に手間がかかる上、多量の牛乳からわずかしか作れない貴重品だそうだ。5cm四方ほどで1000円で土産物として売られている。
  • 赤米  日本の国に稲作農耕文化が上陸したのは縄文時代の晩期で、当時の人々は白米ではなく、「赤米」は赤飯のルーツとも云われています。鄙びた香りと、ハレの赤い色や味はあっさりとしていて美味しく、慶事の赤飯のルーツ。平城宮跡から出土した木簡にも、「赤米」の記述があります。赤米のほとんどが粳米(うるちまい)で、野生の稲の多くが赤米であったといわれている。
  • 黒米(糯米)  黒米は中国歴代の皇帝に献上された、栄養豊かな縁起のよい神秘なお米として珍重されてきました。香りが良く、自然の甘みもあり、消化機能を高め、精力を増やして、体を温める作用が有ります。黒米は、玄米の色が黒または紫色に見え、ほとんどがもち米です。
≪黒米・赤米≫


シルクロード学研究センター

 「奈良とシルクロードの語り部たち」講演会 

【第2回テーマ】古代奈良の食文化とシルクロード
日時 平成14年11月24日(日)10時〜16時
会場 奈良県新公会堂 能楽ホール
主催者 「奈良とシルクロードの語り部たち」組織委員会
奈良県
(財)なら・シルクロード博記念国際交流財団/
シルクロード学研究センター
日本経済新聞社

●開催趣旨

 ユーラシア大陸を東西につらぬく道。遙かな海を結ぶ道「悠久の軌跡-シルクロード」。古代から、その長い道のりを人・もの・情報が行き交いました。そして、それらを伝え、受け入れた人々の営みによって、様々な文化が生まれ、育まれてきました。
 「奈良」は、この「シルクロード」の東の終着駅であり、シルクロード文化の受容と変容の歴史舞台でありました。古事記や日本書紀、万葉集にみるように、我々の祖先は、ここ奈良で様々な人間ドラマを展開しながら、飛鳥・白鳳・天平の文化を花開かせ、日本文化の基層を作りあげました。それゆえ、「奈良」は、日本文化発祥の地であり、日本の「こころのふるさと」と言われています。
 新世紀を迎えた今あらためて、我々が受け継いだ歴史・文化を「シルクロード」を通して再発見し、「奈良」の文化の世界性、そして日本文化の源流を解き明かすことが必要であると考えます。
 そこで、飛鳥〜奈良時代のくらしの文化や精神文化に焦点を合わせて、それらがどのようにシルクロードと結びつき、その影響を受け、独自の文化として成熟していったかを、「語り部たち」が紹介する史実や逸話を通して探求するため、2001年度から5年間、この講演会を開催するものです。

●2002年度開催趣旨
 飛鳥時代から奈良時代に至る古代奈良は、シルクロードを通して様々な影響を受け多彩な食文化を育み、現代に通じる「日本食」の基層を作り上げました。
 今回は、古代奈良や、シルクロードの西の始発駅ともいえるギリシャ・ローマを中心にした古代地中海世界など、東西の食文化を検証します。さらに、シルクロードの代表的な料理や食材の紹介も交えながら、その伝播と変容の軌跡を解き明かすとともにシルクロードの食文化の豊かさを味わっていただきます。

語り部講演 語り部トーク
一、 塚田 孝雄(和光大学講師)
講演名・・・シルクロード東西の食文化          
       〜古代地中海世界と奈良

二、 樫山 和民(宮内庁正倉院事務所長)
講演名・・・正倉院から見た古代奈良の食文化

三、 菅谷 文則(滋賀県立大学教授)
講演名・・・シルクロードの古代食

古代奈良の食文化とシルクロード
   
コーディネイター菅谷 文則(滋賀県立大学教授)

塚田 孝雄(和光大学講師)
樫山 和民(宮内庁正倉院事務所長)
田中 敏子(奈良調理短期大学校校長)
ダリア・アナビアン(ペルシャ料理研究家)

●シルクロード古代食体験と展示
  参加者の方々全員に、昼食会場にて、語り部講師の監修のもと作成した古代食をお召し上がりいただくことにより、シルクロード東西の食文化を体験していただけます。また、食文化に関する様々な展示も予定しております。どうぞお楽しみに!
●参加者の募集
参加料 お一人につき2,000円(資料・古代食込)
募集人員 300名
申込・
問合せ先
〒540-8588
大阪市中央区大手前1丁目1の1
日本経済新聞社大阪本社 広告局開発部「奈良とシルクロードの語り部たち」講演会係
TEL:(06)6946-4250


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