龍野高校10回生の皆さん、
どうぞ東北復興のために力を貸してください。


 東日本大震災は、東北の太平洋岸に住む人々が、厳しい風土の中で営々と築き上げてきたすべてのものを一瞬にして奪い去りました。死者・行方不明者は宮城・岩手・福島3県を中心に2万8,000人を超えました。一面がれきの原と化した海辺のまちはいま、愛する子を、親を、夫や妻や友を失った人々の号泣で満たされています。

 今回の被災地は、平安時代の「貞観津波」や明治三陸津波、昭和のチリ地震津波など、過去にもしばしば甚大な津波被害を被ってきた地域です。津波の怖さを知り尽くし、どんな津波にも耐えられるはずの頑強な防波堤に守られていた港町も少なくありません。
 そのうえ、政府の地震調査研究推進本部が「30年以内に宮城県沖地震が発生する確率は99%」と10年前から発表してきた予測に対しても、自治体と住民は真摯に受け止め、程度の差こそあれそれなりの備えはしてきたのです。

 しかし、実際に起きたのは精緻な科学的予測をもはるかに超えるM9.0の超巨大地震であり、高さ20mにも迫ろうという大津波でした。万里の長城のような巨大防波堤をも今度の津波は軽々と越え、まちと人をひとのみにしてしまいました。

 加えて、福島第1原発の深刻な事故が被災者たちに二重の苦しみを強いています。巨大津波の危険性を過小評価して安全性の追求をおろそかにし、原子炉を暴走寸前にまで至らせ、いまなお危険な綱渡りを続けて出口を見いだせない東京電力には、言うべき言葉もありません。

 今回の震災に関して、私はたくさんの友人知人からお見舞いの電話やメール、手紙をいただきました。ふるさと龍野の旧友や首都圏在住の同期生らも「大丈夫?」と声を掛けてくれました。私は同じ仙台でも、海岸線からは遠く離れた場所に住んでいます。おかげで被害は全く軽微だったのですが、しばらく通信が途絶えたこともあって皆さん大変心配してくれたようです。お心遣いに、あらためて厚くお礼を申し上げます。

 今回のとてつもない災害は、今後恐らく何10年にもわたって東北に住む者の両肩にのしかかり、苦難の道を強いることでしょう。しかし、既に国民はもとより世界の国々や市民までが支援に乗り出してくれています。全国から駆けつけたボランティアの働きにも目覚ましいものがあります。そして被災者たちへの義援金も阪神・淡路大震災のときを上回るペースで集まっています。

 こうした温かい援助に支えられ、我慢強さと粘り強さを身上とする東北人は必ず再起するでしょう。いまは愛する家族と住まいと職場の何もかもを失い、慟哭の淵に沈んでいる人たちも、決してそのまま絶望死するようなことはあり得ません。

 ただ彼らの気力を引き出すには、どん底にいる人に差し伸べられる手が必要です。いつまでも見離さずに励まし続けてくれる声援が必要です。龍高10回生の皆さん、どうか「がんばれ東北」と声をかけてください。東北の人々と心をひとつにしてください。

  2011年3月31日        大塚 正宸さんより
  (仙台市在住)


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